ワンオフ・カスタム クランクシャフトの作り方 - その①

今回は TRUE ONES カスタム・ワンオフ・クランクシャフトの作り方です。


上の写真は
TRUE ONES / 4G63 * 94mm ストローク クランクシャフト
重量 : 13.3 kg


通常、クランクシャフトの基本的な形状は、V8やV6、I4やI6と言ったシリンダーの気筒数と配置、ボア間ピッチ、ブロックのメインジャーナル径やコンロッドのピン径などの寸法、フライホイールやプーリーの取り付け形状などエンジンの基本スペックにより決定されてしまいます。


また、ピストンによる爆発圧力に耐えまがら回転出力を取り出す為だけなら、クランクシャフトはもっとシンプルな形状で良いはずですが、同時に高速で回転しながらピストン・コンロッドによるレシプロ(往復)運動の振動を出来る限り減衰しなければなりませんので、複雑な形状のアームやカウンターウエイトが必要になります。

更に、強大な爆発による力と、重い車体を加減速する為の駆動系からの反力の両方をクランクシャフトは受け止めなければならないので、一番ストレスのかかるピン部両脇のアーム部分の剛性がデザイン上非常に重要となります。

★純正クランクシャフト

ところで、コスト管理の厳しい自動車メーカー純正のクランクシャフトにおいては、ある一定の安全マージンは確保してあるものの、そのエンジンに要求されるカタログ出力に対する強度、純正ピストン・コンロッド等レシプロ慣性重量に対応する振動抑制やオーバーレブ時に対する強度、エンジンブレーキやギャップ走破時の駆動系からの入力に耐えるレベルでの必要最小限の設計強度しか与えられておりません。つまり、自然吸気エンジンへの過給器の追加や過給圧アップによる爆発力の向上、また、吸気効率向上を狙ったバルブ径の拡大やレブリミットアップによる高回転化対応の為のバルブスプリングの強化、ハイグリップタイヤ使用による駆動伝達力の向上等の付加的な状況は想定されておりませんので、ハイパフォーマンス化チューニングの進んだエンジンにおいては、その剛性不足により捩れが発生します。この捩れが危険共振振幅を増加し、バルブタイミングや点火時期のずれを生じ、その結果レスポンスの低下、バルブジャンプ、コンロッドのメタルやメインメタルの油幕切れトラブルによる焼き付き、コンロッドの捩れ破壊、そして最悪クランクシャフト自体の破壊を招きます。
(写真は4G63 純正クランクシャフト 重量:14.6kg)

そこで、高出力化に対応する為、剛性をアップした強化クランクシャフトが必要となります


★強化クランクシャフトの特徴とは?

1. 静的剛性アップ

強化クランクシャフトの一番大切な項目は静的な剛性アップです。その手段として まずはクランクシャフト母材自体を靭性の高い材料に変更し、また型鍛造からより強度の高い鍛造丸棒祖材へ変更し、加工方法もウェブの形状を自由にデザインできるよう削出しだしで製作いたします。
<静的強度検討 - 爆発圧力による歪の確認>

 2. 振動・捩れ対策

この静的な剛性向上対策に加え、組み込むエンジンのスペックやその使用用途に合わせて、細かいカスタム・ワンオフ仕様として、実際に組み込むピストン、ピン、リング、コンロッド等のレシプロ慣性重量に合わせてカウンターウエイト重量の低減と高回転時の振動を押さえ込む為にアンバランス率の最適化を行います。
<動的強度検討 - 共振捩れによる応力検討>

3. 剛性アップと軽量化のバランス

しかし、剛性アップだけを狙うとどうしても重量は増加していきます。そこで、綿密な静的・動的FEM強度解析を行う事により剛性の必要なアームの部分には必要な肉厚を確保し、影響の少ない部分においてはとことんまで肉を削ぎ落とし軽量化を進めます。


そして、ライトニングホールの追加により慣性重量の一部となるピンの部分を更に軽量化できる事により、それとバランスをとるカウンターウエイトの重量を低減する事ができます。同時に剛性に影響の少ない回転軸中心部分に近い部分のウェブ形状を極限まで絞り、更にスプリントレース仕様はメインジャーナルの中心部に貫通穴を設定することにより全体としての軽量化を図ります。


4. 耐摩耗性の向上

プラズマやガス窒化等の熱処理の変更・追加により、ピンやメインジャーナル部分の硬度を上げ、更にハンドラッピングやマイクロポリッシングにより面祖度を上げる事により対磨耗性の向上も狙います。


また、チューニングの方向性により、硬質クローム処理による更なる耐摩耗性の向上や、WPC処理による圧縮残留応力による対クラック性の向上と極限までのフリクションの低減を追及します。


5. オイル潤滑性能アップ

ノーズフィードのオイルラインなら問題はありませんが、通常のクランクシャフトのオイル供給は、ブロックからメインジャーナルのオイル穴を経由して、コンロッドメタルへと供給されます。よって、コンロッドメタルの油膜・幕圧安定化の為、メインジャーナルのホールは出来るだけオイルを掻き込む様に、そしてピンジャーナルのホールは安定的にオイルを吐き出すように、オイル穴の位置・角度・形状の最適化を行います。



仕上げ時にダイナミックバランスを正確に取りますが、その際も純正クランクシャフトのようにカウンターウエイトにやたらと穴を開けるのではなく、ウエイト部分の最外周を削る事により、オイル撹拌抵抗を出来る限り低減する為、表面を平滑に保ちます。



量産ブロックを使用するエンジンでも、剛性の高い軽量クランクシャフトを使用することにより、よりパワフルでよりスムーズなエンジンに仕上げることが可能です。

是非 TRUE ONES スペシャルクランクシャフトをお試し下さい。


★ TRUE ONES は MKS Engineering 社のオリジナルブランドです。
     詳しくはお問い合わせ下さい。


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