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ワンオフ・カスタムコンロッドの作り方①

CP Pistons 社とCarrillo Industries 社は以前は別々の会社でしたが、CP Pistons が2009年に Carrillo Industries 社を完全買収致し、2009年の年末にCarrillo 社の工場の設備を Irvine 市にあるCP Pistons 社の工場内にそっくり移設いたしました。そこで、現在は両ブランド名はそのまま CP Pistons と Carrillo と2本立てですが、デザイン・生産設備はシームレスに連結し、CP-Carrillo, LLC という会社名に変更になり運営されております。

これで完全にデザインから生産まで Pankl Quality にて管理する事が出来るようになりました。

★Carrillo コンロッドの特徴

Carrillo コンロッドの特徴は、Carrillo社がコンロッド専用に開発した特殊鍛造祖材 (CARRALLOY) と用途により使い分けることのできる3種類のビーム形状にあります。

この航空宇宙産業向けの高品質なCARRALLOY を用いることにより、一般的にハイパフォーマンス・コンロッドに使用されているSAE/AISI4340 (クローム・モリブデン鋼)を用いたコンロッドと同等の強度を維持しながらより軽量化することに成功いたしました。また、専用鍛造祖材を使用することによりより均一な品質を保つことが可能となり、ロッド内部からの亀裂を発生させる原因となる材料に混入する介在物を極力排除することが可能となっております。

また、お客様のエンジンの仕様用途に合わせ、下記に記す3種類のビーム形状より最適な形状を選択し、デザインの段階から強度と軽量化、更にスチール系コンロッドとしてコストパフォーマンスも高次元でバランスさせております。

なお、CP-Carrillo 社は究極の軽量化と高剛性を要求される Formula-One 向けのエンジン部品のデザイン・開発を主業務としている Pankl Racing Systems 社を母体としておりますので、その強度解析・デザイン部署のデータベースをCP-Carrill社のデザインエンジニアも共有しておりますので、F1の設計から得られた最新のデザイントレンドをCP-Carrillo 社のデザインにも惜しみなく反映させております。


★Carrillo コンロッドの形状

Pro-A (I-鋼)

Carrillo Pro-A ロッドは最も軽量化を追及したコンロッドの形状です。



ビーム(腕)の部分のエッジの厚みが必要最低限まで削られ、超軽量コンロッドが出来上がります。

☆耐久出力 : 約60HP  / シリンダー  未満



Pro-SA (I-鋼)

Carrillo コンロッドの中では中庸的な立場で、Pro-A ロッドのエッジ部分の肉厚を上げ、剛性を更に高めた形状になっております。



Pro-A に比較してエッジ部分の肉厚に余裕を持たせ、より高出力に耐えるデザインとなっております。


☆耐久出力 : 約120HP /シリンダー 未満


Pro-H (H-鋼)

もっともスタンダードなH-鋼タイプの高剛性コンロッドです。


H-鋼の幅と内部の肉厚を自由に調整する事により、Pr-SA 相当の重量から 6気筒1,000HP 以上にも耐えられるような高強度なコンロッドにまで使用できます。

☆耐久出力:120HP /シリンダー 以上




以上のことを十分に踏まえ、まずはエンジンの使用用途・条件を明確にして、必要な強度を検討するところからワンオフ・カスタムコンロッドのデザインは始まります。

強すぎるコンロッドはフリクションにしか成りませんので、必要強度と軽量化のバランスが大切です!


※なお、上記ビーム形状判別の為の耐久出力はあくまでも目安です。実際にはピストン、ピン、リングの重量、最高回転数、最高出力、使用用途、オーバーレブの可能性などを考慮してCarrillo社の経験値より決定いたします。

WPC Treatment とは?

WPC Treatment / WPC処理自体は別名"マイクロ鍛造"と呼ばれるように、金属の表面を加工し、硬度を上げて磨耗やクラックの発生を防止したり、また施工時に表面に出来るゴルフボールの様なマイクロディンプルによりオイルの潤滑性の向上を助け、フリクションを低減いたします。
日本では既に20年以上の実績があり、MotoGPを始め、F1やWRC、ル・マン24時間レースなど耐久性を要求されるエンジンやトランスミッション、サスペンション部品などに広く採用されておりますが、ここアメリカにおいては2005年より WPC Treatment Co., Inc.社がカリフォルニア州トーランス市に工場をオープンし、アメリカでのWPC処理を開始いたしました。そこで弊社もWPC Treatment Co.,Inc.社に依頼してピストン・コンロッド・クランクシャフトの強化とフリクションの低減・シール性の向上を目的に必要に応じてWPC 処理を実施しております。

また、CP Pistons社でもオプションとしてこのWPC処理を広く採用しており、ピストンピンにおいてはWPC処理を施したものを一部カタログモデルとして既に標準化しております。

今回はそのWPC処理の基本情報をおさらいの為アップします。




★WPC 処理とは

"Wide Peening Cleaning / 幅広く打ち付けて清掃する" もしくは"Wonder Process Craft / 不思議な、驚くべき工程の特殊技術" の略で、WPC処理とは、 金属成品の表面に、目的に応じた材質の微粒子を圧縮性の気体に混合して高速衝突させるという精密ブラスト技術です。つまり、金属表面処理の一種で、40~200ミクロンという非常に小さな 微粒子(ショット)を、被処理材料に対し高速(100m/sec以上)に噴射し、その粒子を衝突させる事により発生する熱で金属の表面を処理する事で、主に疲労強度の向上と摺動性の向上を目的としています。

★WPC 処理の効果

WPC 処理を実施すると、処理対象物の最表面で急熱・急冷が繰り返されることより、微細で靭性に富む緻密な組織が形成され、高硬度化して表面を強化すると同時に、表面性状を微小ディンプルへ変化させ潤滑性を向上させることにより、摩擦磨耗特性を向上させます。WPC処理可能な材質は、ギアなどの鋼、ピストンのようなアルミ及びアルミ合金、オイルポンプのような焼結合金、クランクシャフトのようなダクタイル鋳鉄、メタルのようなスズや鉛の合金、そのほか、チタン合金など金属であればほとんどがWPC処理可能です。 また、硬質クローム、TIN等のメッキ、窒化、浸炭などの表面処理の上にWPC処理を実施する事により相乗効果を発揮します。メッキ等の前処理としてWPC処理をすると、金属との密着性が上がりメッキの耐久性が向上します。 更に、固体潤滑剤ショットを用いる事により 、微粒子の成分元素を金属最表面に拡散・浸透メッキすると共に、表面を合金化させて強度を増すことが可能となり、チル化などにより作られた高硬度で脆い金属表面にも、更なる摺動姓を目的としてWPC処理をする事が可能となりました。

★WPC 処理の対象

現在はレースエンジン・車両関連機械部品以外にも、切削工具・金型等の強度と耐摩耗性、機能性を向上させる表面改質熱処理技術として、幅広い産業分野で利用されています。

★WPC 処理 特徴:

• 疲労強度の向上

• 耐摩耗性の向上

• ミクロディンプルによる摺動性の向上

• 金属表面硬度の向上

• 耐クラック性の向上

• 耐衝撃性の向上

• 各種皮膜との密着性向上

• 低温脆性の防止

• スカッフィング・フレッティングの防止


★WPC 処理 対象:

• ピストン、ピストンピン、ピストンリング

• クランクシャフト / ジャーナル(メイン、ピン)、プーリーボス他

• コンロッド、コンロッドメタル

• カムシャフト / ロブ、ジャーナル他

• ロッカーアーム、バルブリフター

• バルブスプリング、スプリングリテーナ

• バルブ

• トランスミッションギア、フォーク、シンクロ、スリーブ他

• デファレンシャルサイドギア、ピニオンギア、L.S.D.クラッチプレート

• クラッチカバー / プレート部

• ドライブシャフト、CVジョイント他

• ロータリーエンジン

/ アペックスシール、コーナーシール、エキセントリックシャフト他

• 切削工具、金型他

MKS Engineering では全ての機械加工部品に対しWPC処理を承っております。ピストン・コンロッド・クランクシャフトの納品に合わせ施工可能です。お見積りを作成いたしますので、お気軽にお申し付けください。

WPC処理サンプル写真

用途に合ったピストン鍛造型選び

ピストンを純正から交換すると言うことは、それなりの目的があってすることだと思います。過給器をつける事による高出力化に対応するための鍛造化による耐久性の向上と圧縮比を落としてノッキングの防止、自然吸気エンジンで高圧縮化でトルクの向上や更なる高回転時のフィーリング向上狙い、または何かトラブルがあってその対策のために交換等々...

その目的に合わせて色々なエンジン特性を作り込めるのが、カスタムピストンのひとつの魅力です。その為にはスタート地点の鍛造をまず目的に合わせて選定できなければ始まりませんね!

CP Pistons 社のピストンを語る上で重要なのが加工精度の高さと鍛造型。CP Pistons の製作するピストンは全てアルミ鍛造より超精密加工にて削り出しで製作いたしますが、そのもととなる鍛造型には色々なサイズと形状が有り、エンジンの使用用途、デザインの目的により下記の3種類の鍛造型を使い分けています。

★STD-Style (または S-Style) :
    高強度鍛造 / Turbo や Super Charger、NOS System など過給器付きエンジン向け鍛造型

頭頂部の肉厚を十分に確保し爆発圧力による歪や熱応力によるクラックの発生を抑えております。鍛造ピストンの高強度さを十分に発揮し、6気筒1,000馬力にも十分対応いたします。

3S-GT や4G63、4B11、2JZ-GTE、2GRターボ、VR38DETT、EJ25/20ターボ、FJ20、L28ターボなどDish タイプ(凹)の頭頂部形状や、RB26 などのDome(凸)タイプの頭頂部形状にも多様に対応できます。 いわばCP 社のオールラウンダーです。





参照:Toyota 3S-GT



★X-Style :
    超軽量 / 自然吸気・高回転エンジン向け鍛造型

スカート部分の面積を最小とすることによりフリクションの低減を図り、尚且つピンボス部分の剛性を保ちつつSTD-Style 鍛造に比べて背面の軽量化を達成。

基本的にはアルミ鍛造の高強度を最大限に利用し、贅肉をそぎ落として超軽量なピストン向けに使用する鍛造型です。リセス形状に合わせた背面の鍛造型から想像する通り 4バルブDome タイプの頭頂部形状を得意とし、K20A や4A-G、Alfaromeo156 等高回転を狙う自然吸気エンジン向けの超軽量ピストンには最適です。

また、L28やF355などFlat な頭頂部形状のピストンにも適合いたします。ただ、頭頂部の形状により背面の鍛造形状が余肉になる場合がありますすので、その場合は背面追加工により追い込み更なる軽量化を狙います。





参照 : Toyota 4A-G / 4 valves

ピストン背面の贅肉をそぎ落としつつ、リブを残して高強度化と冷却性の向上を狙います。





★MX-Style :
    高強度軽量鍛造 / 高出力自然吸気エンジン向け鍛造型

X-Style をベースとし更に背面に鍛造のリブを追加することにより、頭頂部ピンボス方向の剛性を上げると共に放熱フィンとしての働きより冷却性の向上に貢献。

もともと超高回転向けのバイク用鍛造型から派生した鍛造型で、背面はフラットで強度アップの為のリブが追加されていますので、背面加工なしで対応できる頭頂部形状のピストン向けに力を発揮します。

今回はBMW 向けのピストンに採用いたしました。





※なお、現在は φ94.0mm ~ 100.00mm のみ対応可能ですが、今後は対応できるサイズを増やす予定です。

CP-Carrillo 社のご紹介!




まずは一番大事な CP ピストンのメーカーである CP-Carrillo LLC 社のご紹介。CP-Carrillo LLC 社はカリフォルニア州アーバイン(Irvine, CA)という街にあります。現在はお隣のレイク フォレスト(Lake Forest) という街にそのタイトルを奪われてしまいましたが、この街はつい最近まで全米一安全な街というタイトルを持っておりました。しかし、現在でもアメリカ有数の安全な地域で有る事は間違いありません(笑)。 その証拠にMAZDA、KAWASAKI、MARUCHANなど日系企業も近隣にはたくさん集まっております。

CP Pistons 社は1998年に創業。オーストリアにある Pankl Racing Systems AG 社のグループ企業として、その解析・設計・開発リソースを共有し、F1を代表とするヨーロッパのハイエンドモータースポーツ向け部品の設計思想を十分に反映し、その最新のF1デザインテクノロジーを用いてピストンをデザイン・製造しております。

2008年にはやはりアメリカではコンロッドメーカーとして有名な Carrillo Industries 社(当時は San Clemente, CA に所在)をM&Aにて合併し、2009年に同じアーバインの敷地内にその工場を移転し、デザイン・解析のリソースを共有してピストンの設計と連動してコンロッドの設計も出来る体制が整い、現在は社名を CP-Carrillo LLC 社に変更でして、ピストンとコンロッドを同じクオリティーで生産しています。


弊社 MKS Engineering, Inc. は2005年よりこの CP-Carrillo 社の正規代理店として営業しております。また、日本市場へのディストリビューター / カスタマーサポートの窓口として、CP-Carrillo 社と提携しております。

なお、CP-Carrillo 社では、弊社が得意とするカスタム・ピストン、カスタムコンロッドの製作以外にも、日本車やヨーロッパ車、アメリカンV8向けなど、多様なラインナップもカタログ品として用意しております。


CP ピストン PDF カタログ [ダウンロード 2.49 MB]

K20AやSR20DET、VQ35やVQ37、4G63やEJ20/25 など日本車向けのピストンキットの在庫も豊富ですので是非お問い合わせ下さい。

Sport Compact Catalog

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満を持して(笑)ブログ始めて見ました。

ここではMKS Engineering, Inc. の最新の情報と、アメリカのモータースポーツ関連情報、アメリカの自動車産業特にアフターマーケット関連の情報、そして私Nickの考えることなどを中心に発信していきたいと思います。

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